
時の移ろいと共に変わる生き様。
※独断と偏見で感想や解釈を語りますので、ご理解いただいた上での閲覧をお願いします
Discography
Title: 水路
5th Single 羽 2016.1.13 Release
Music/Lyric/Arrangement/Vocal: 稲葉浩志
Arrangement/Bass/Guiter/Keyboard: 徳永暁人
Drums: 山木秀夫
Thema
水路跡が緑地化している場所を散歩した時の光景を詩にしている。何気ない風景から歌詞の世界観を広げるのが上手だよね。
Sound
徳永さんの多才な技術によって、稲葉さんの世界観を大いに引き出すことに成功している作品。下手なバラードはのっぺりした印象になりがちだけど、やっぱり一流の音楽家は違うよね。テーマが小径なのに世界観の広がりが半端ないもん。
稲葉さんは抑え気味だけどアクセントで高音を伸ばして、らしさを見せてくれている印象。楽曲に合わせて声色変えるなんてお手のもの。バラードだと顕著に実力が分かるよね。
Lyric
穏やかなピアノの旋律が主導して牽引するイントロ。
Long time ago
この小径沿いに水の流れがあったという
緑溢れ木陰は黒い宇宙 ポケットの中 手をつないだ
小径とは二人では通れない狭い道のこと。そこに昔は水路があったという。その周りの木々や木陰の大きさなどの情景を稲葉さんの華麗なる詩から無限に想像できる。
一時の安らぎに身を任せて
どこまでも溺れてしまえば
時の流れに身を任せて生きてゆく。
前述した木陰で涼んで考え込んでいる様子が思い浮かぶ。
流れるこの時がもう二度と
戻ってこないなんて思わないだろう
一寸先の光 それもすぐ思い出になる
過去を変えたいなら今を重ねるしかない
今という瞬間もすぐに過去になる。だから今という一瞬一瞬を懸命に生きていけば、序盤の歌詞の、いつの間にか水の流れる水路から小径へと変化するように状況を変えることができると説く。
Long time ago
この先のどこか 命を捨てた人がいたという
自分の中潜む獣に飲み込まれてしまうのか
自殺か?自分の心に潜むネガティブな感情に支配されて、思い詰めてしまって命を絶ったのかな。そんな人の心情を思う。
掴みきれぬ不安に身を強張らせ
目を閉じて 耳を塞げば
自分にもそんな不安や心配事があって、急に襲ってきたよう。あるよね、そういう瞬間。
流れるこの時を綺麗なままで
止めてしまえるなんて哀しい勘違い
見知らぬ世界へ放り出されてみればいい
明日を手繰り寄せる今を始めるしかない
流れる時は誰にも止められない。勝手に脳内で美化させたり過去に固執する所謂「古参厨」的なことは哀しいことだと言う。
未来という無限の可能性に目を向けて今を生きていくという、稲葉さんの宣言にも聴こえた。
ここからシリアスなピアノを挟んで嘆き声みたいなシャウトを披露。ギターソロは一音一音が感情的で心を刺激してくれる。
流れるこの時が見えなくなって
消えてしまっても誰にも奪えない
見知らぬ世界へ放り出されてみればいい
明日を手繰り寄せる今を始めるしかない
過去の経験や思い出は自身の中にある。これだけはかけがえのないもの。だから自分だけの経験などを糧にして生きて、水路から小径に形を変えるように、自分も変わってゆけるという。
総評
稲ソロ独特の詩的で一筋縄ではいかない感じが表現されているバラードナンバー。
なんでもない稲葉さんらしい世界観が素敵よね。自然や街並みの風景から稲葉さんらしい人生論を聴けるのもいい。稲ソロならではが詰まっているように感じた。
稲葉さんがひたすらトラックの荷台で歌い、浮遊する不思議なMV。稲葉さん自身が流されて生きているとよく言ってるけど、まさにそれを表現しているように感じた映像だ。