銀色の念書

思いの丈を綴ります。

暗闇を見つめた穴があくほど

稲葉浩志 6th Album 只者


真っ暗闇の穴。自分自身と見つめ合う時間と無限の思考の連続。

もがき苦しむ先に何がある?

※独断と偏見で感想や解釈を語りますので、ご理解いただいた上での閲覧をお願いします

Discography

稲葉浩志

Title: ブラックホール

6th Album 只者 2024.6.26 Release

Music/Lyric/Arrangement/Vocal: 稲葉浩志

Arrangement/Bass: 徳永暁人

Drums: Shane Gaalaas

Guiter: DURAN

Thema

長い人生を過ごしていく中で、今自分が歩んでいる道は正しいのか?と自分自身との葛藤を描いている。

稲葉さん自身の心の内をストレートに表しているとも思える。

Sound

シンプルな構成のバンドサウンド。各楽器の奏者がダイレクトにロックしているのがいい!

シェーンのドラムはしっくりくる。聴き馴染みのある心地良い音。

徳永さんのベースは全て優しく包み込むようで、それでいてしっかりとした土台のような安定感。

DURANのギターが終始いい!カッティングの色気が半端ない。ラストの歪み潰したギターサウンドや盛り上がりもいい!本当にブラックホールに飲み込まれているような錯覚に陥る。

そして、稲葉さんの声はこういうシンプルロックだと更に良さが際立つ。この曲だと低めの歌声がメインになっている。

あと思ったのが若干ギターリフとか『O.NO.RE』に似てるし『志庵』や『マグマ』あたりのアルバムに収録されていてもおかしくなさそうな雰囲気の楽曲だ。

Lyric

稲葉さんの囁きから始まる。

暗闇を見つめた穴があくほど

真っ暗な脱出のしようがないような世界。そこで歌っているのを想像してしまう。

これとは違う人生を

あれやこれやと妄想して

結局別の人生なんてないと

いつも通りの結論に

行きついては眠気が襲う

どんなにあの日を取り返そうとしても

稲葉さんも教師の道へ進んでいたら今頃どうなってたんだろう、と勝手に妄想。教頭先生とかになって事務作業とかやってたのかな?みたいなほのぼの妄想ではなさそう。すいません。

まあ最終的にはそんなのないと振り出しに戻る。ただただ疲れるだけ。労力の無駄だと言わんばかり。

居心地いい場所から出られない

人間は楽したい生き物。自ら大変なことをするのは腰が折れる。

もしくは、今まで自分が歩んできた道から外れるのは厳しいと言っているのかな?

厄介なパズルを解き明かすように生きて

曖昧な悲しみに惑わされてゆく

よじれるこころ

人生は様々な事象が複雑に絡み合ってくる。そして、それを乗り越えようとする度に、何処からか負の感情が湧き上がって迷ってしまう。心もよじれ苦しむ。

サウンドと相まって生きることの大変さがよく伝わる。

本当のところ私は

何にでもなれたはずなんだよ

ただ迷子になったそれだけのこと

人間の可能性は無限。なんだってできる。ただ人は迷いながら、これが自分の道だと信じて進んでいく。複数の道は歩めない。

稲葉さんは暗に人生の道は一つじゃないと教えてくれているよう。ただ道は一つしか歩めない。だから迷子にもなると。

夢を教えてくれるのは誰?

自分に問う。自分の人生の目標を教えてくれるのは誰なんだろうと。

赤い血が逆流して嘆きの発作にまた酔っぱらう

荒い息も枯れた後あなたを探している

そこが私の行き先

まだまだ思考は止まらない。過去の行いを悔やみ、苦しみ悶える。ただ思考の果てに目的を見つけた目標。それはあなた。

恋愛ソングとも意味をとれるようにしたか。

この後のラスサビへ向かうベースがいいんだよなー。声が枯れた後の空しさを表現しているようでね。

暗闇をずっと見つめた穴があくほど

先の見えない出口への思考の連続。穴があくほど挑み続ける。

囁きが聞こえて答えなど探すなという

暗闇は自分の中それを抱きしめた

うずき出すこころ

答えなんてない。無限の思考や苦悩を抱き抱えながら生きていくしかない。葛藤の中でも行動していけば、自ずと道は拓けてくる。

アウトロはテンポアップして暗闇から抜け出すような、もしくは吸い込まれていくような不思議なラスト。かっこいいんだけど。

総評

ブラックホールと心の内を比喩して、思考という名の時空の歪みに囚われ苦悩する様子を描いた作品になっている。

『あの時、そうしていたら最高だったな』や『一年前に違う選択をしていたら今より良かったんじゃないか?』とか、誰もが過去と悩み苦しんでいる様子。それをこうやって歌詞として具現化している。脱帽です。