赤い灯が行手を阻む。
絶望の淵に立ち、どこまでも葛藤する。
※独断と偏見で感想や解釈を語りますので、ご理解いただいた上での閲覧をお願いします
Discography
INABA / SALAS
Title: BLNK
1st Album CHUBBY GROOVE 2017.1.18 Release
Music/Lyric/Arrangement/Vocal: 稲葉浩志
Music/Lyric/Arrangement/Guiter/Drums/Percussion/Back Ground Vocal: Stevie Salas
Drums/Percussion: Massimo Hernandez
Drums/Percussion: Matt Sorum
Drums/Percussion: Taylor Hawkins
Bass: Abel Guier
Keyboards/Additonal Guiter: Tim palmer
Additonal Guiter: Federico Miranda
Keyboards/Back Ground Vocal: Luis Montalbert-Smith
Back Ground Vocal: Parthenon Huxley
Theme
一度きりの人生。どんな絶望に苛まれても生きていくしかない。
そんな哀しくも孤独なテーマだと思う。
Sound
ドラマチックだけど狂気をはらんだ作風。絶望感漂うような崖っぷちのバラード。
同アルバムの『ERROR MESSAGE』や『シラセ』とはまた違った種類の悲壮感をはらんでいる。個人的にこの楽曲のほうが深刻さがある感じがするね。
哀しげな歌声と暗めの雰囲気が覆う曲調。稲葉さんの訴えかける歌唱法も、それを加速させる。けど、そのネガティブな感情を思いきり吐きだすようなコーラスとハミングが気持ち良い。
あとドラムのリズムが独特。若干民族音楽っぽい?
Lyric
いけない一歩踏み出し
どこまでも堕ちゆく
そんな姿思い浮かべ
眩しい夜 歩道に立つ
何かを決心して一歩踏み出す。そして、もう戻れない。そんな最悪を想像して夜の街に現れる。周りは皆キラキラと輝いているが、自分は暗い夜道でポツンと立ちつくしている情景が浮かぶ。
もう良い予感はしない。
無音で過ぎる車
自分の世界に集中し過ぎていて周囲の音が聞こえていない。何か深く考え過ぎているのか。
赤い灯が繰り返し点滅する
ここから足を踏み出してよいものか
生きるのは痛い
それでもこれは私だけのストーリー
歩道や車が歌詞にでてきているので、赤い点滅は深夜の信号機。生きてゆくのは痛く辛い様子。このまま車へ突っ込んでしまいそう。
赤は止まれ。進むな。それが繰り返し何度も点滅して知らせる。ということは…。
力抜いて増悪に
侵されてしまいたい
疲れ果てた自分の中身
必死になって見つめる
もう負の感情に抵抗すらしない。もう燃え尽きている感じ。からっぽの自分。
燃え尽き症候群かな。集中力やモチベーションがなくなって一時的に鬱病手前的な感じになるやつ。そんな精神状態で次の歌詞に続く。
おとぎばなしさ メロスなんて
疲れ果てても諦めずに目的を達成したメロスはおとぎ話だという。現実とは違うと項垂れているよう。それかセリヌンティウスだとしたら信じていたのに来なくて裏切られたとか。またはそれら『走れメロス』の物語自体全てをひっくるめて自分には熱い友情を注いでくれるような交友関係はなかったとか。どちらにせよ、辛く暗い過去があったことに変わりはなさそう。
赤い灯が容赦なく点滅する
あるはずの道を誰か照らして下さい
生きるのは辛い
それでもこれは私だけのストーリー
一度きりの私だけのストーリーさ
また行手を阻まれる。他人に助けを求めるが、前述の通り手を差し伸べてくれる人は誰もいない。
これが一回きりの自分の人生。こんな辛い結末だけど、それが私の人生と受け入れてしまっているようで、聴いていると胸が苦しくなってしまうようでもある。
開き直ってこれが私の人生さ!って言っているようにも聞こえる。
赤い灯が容赦なく点滅する
あるはずの道を誰か照らして下さい
生きてくのは辛い
それでもこれは私だけのストーリー
一度きりの私だけのストーリー
闇に向かっても踏み出して行くしかない
どんな困難でも歩いて行くしかない。生きることはなにも楽しいことばかりではない。もちろん、辛いことも容赦なく襲いかかってくる。だからこそ、一度きりの人生、闇に向かっていったとしてもそれに立ち向かい進んでいくしかない。
これはハッピーエンドなのか?はたまたバッドエンドなのか?
総評
初めはあまり好みではなかったが、ライブで聴いてからどハマりした曲。
とにかく楽曲の世界観に圧倒されて、厳しい現実に向き合う決心を与えてくれるようだ。
稲葉さんはアルバム制作の終盤の様子を歌詞に記したとコメント。相当この未知のコラボは大変だったんだろうなと窺える。言語の壁やサラスさんの音楽に奔放なあまりに各地に飛び回ってそれに振り回されたり。けど最終的にはアルバムを完成させるのはプロ。闇から抜け出した。
因みに元ネタはサラスのアルバム『Set It On Blast!!』に収録されている『The Uprise』というタイトルのもの。コスタリカの『Gandhi』というバンドが演奏している。同じ曲でも趣が違く、こちらは悲壮感というよりか哀愁がある感じ。