諦めてしまった。自分自身を嫌になって。
※独断と偏見で感想や解釈を語りますので、ご理解いただいた上での閲覧をお願いします
Discography
Linkin Park
Title: Given Up
3rd Album Minutes to Midnight 2007.5.16 Release
Thema
チェスターなき今、この曲を聴くと闇に立ち向かう姿を想像して感動すらしてしまう。そんなチェスターの暗く醜いネガティブな部分が炸裂して楽曲としてぶつかってくる。
とにかくテーマはタイトル通りの「諦め」という全てを無に帰す悲しき行為。自ら命を投げ捨てることだ。
Sound
ゴリゴリのハードでメタルなロックチューン。ダークで重いメロディーとチェスターのドスの効いた声が合わさって最高の楽曲になっている。綺麗で繊細な声からグランジな雰囲気溢れるしゃがれ声まで出せるなんて。とにかく感服。外連味のないシンプルな楽曲で凄みやリンキンらしさが出せるのは驚愕するしかない。
リンキンパーク特有のラップやミクスチャー要素が無くシンプルめなハードロックなので、そっちを求めているファンにはなかなか刺さらない模様。自分はリンキンパークの音楽性が多彩でジャンルレスなスタイルが魅力的と感じるので、彼らのやりたいことやっている感じが伝わればどんなスタイルでもいいと思うんだけどね。
Lyric
煽るような拍手と鎖の音が鳴り響く。アンダーグラウンドでダークな雰囲気から始まる。ギターリフもシンプルでありながら重苦しくていい。
Wake in a sweat again
Another day's been laid to waste
In my disgrace
Stuck in my head again
Feels like I'll never leave this place
There's no escape
悪魔にうなされたように汗をかいて目を覚ます。そして、何もできなかった昨日を悔やみ恥じる。そんなネガティブな感情が頭の中にこびりついて離れない。身体も言うことを聞かない。逃げられない恐怖の底に沈む。
ノリの良いメロディーに潜むドス黒い感情が湧き出ている。自分は精神的な病いや大きなトラウマはないが、そういったことを経験した人ならこの歌詞の感覚が理解できるのかな。
チェスター自身も苦労したエピソードあったもんな。辛かったろうに頑張って吐き出してくれた。
I'm my own worst enemy
そして「自分自身が最大の敵だ!」という結論に達する。
アスリートが自分を追い詰めるニュアンスとは違う感じだ。クソみたいな自分が嫌だという自己嫌悪感かな。自分で自分を嫌いになるネガティブの究極形。自分自身で人格否定をするなんて。
I've given up, I'm sick of feeling
Is there nothing you can say?
Take this all away, I'm suffocating
Tell me what the fuck is wrong with me
そしてサビで咆哮する。「もう諦めたんだ」と絶望。こんな気分に陥るのは嫌だし、何も言えない現状にも。悲観しすぎて息をすることさえ困難な状態。
何が正しいのか、何が間違っているのか。そんな苦悩の連続と後悔の念に押し潰されそうになっている。
チェスターの苦悩や葛藤が歌に乗ってダイレクトに伝わってくるね。
I don't know what to take
Thought I was focused, but I'm scared
I'm not prepared
I hyperventilate
Looking for help, somehow, somewhere
And no one cares
何かに夢中になっていたはずなのに、いつの間にか何をしていいのか分からなくなっていて恐怖に怯える。そして、動悸が激しくなり過呼吸となる。助けを求めても誰も振り向いてくれない。
辛い現実だね。過去の強いトラウマと酷く爛れたメンタルを想像してしまう。歌う度に心にくるものがある的なチェスターのインタビューを目にしたが、確かに鬼気迫る歌唱力とサウンドが心臓を抉るようだ。
I'm my own worst enemy
やっぱり自分自身が最大の敵だという結論に至ってしまう。辛いな。
I've given up, I'm sick of feeling
Is there nothing you can say?
Take this all away, I'm suffocating
Tell me what the fuck is wrong with me
またネガティブな感情に襲われる。双極性障害の躁鬱状態の鬱の部分がクローズアップされている印象。
どん底や絶望と言う言葉が嫌というほど合ってしまう。
God!
「神よ!」ともう頼る人がいない様子。藁にもすがる思いで叫び祈る。一抹の希望を求めて。悲痛な声がヘヴィなサウンドの間から割って入るように響き渡る。
Put me out of my misery!
Put me out of my misery!
Put me out of my
Put me out of my fucking misery!
「苦しみから解放してくれ!このクソみたいな苦しみから解放してくれ!」と何度も切に願う。かっこいい反面、暗い一人で抱え込んでいる闇が垣間見える。
ここの約17秒のロングシャウトは圧巻。誰にでもいいから届いてくれと言わんばかりに力を振り絞って叫んでいる。
I've given up, I'm sick of feeling
Is there nothing you can say?
Take this all away, I'm suffocating
Tell me what the fuck is wrong with me
そして、また繰り返してしまう非情さ。これは止められない。人間生きていれば良い時もあれば悪い時もある。その悪い部分がデジタル社会では簡単に広がる。どんな時代でも悪い部分を押し付けてはいけないし、安易に広げてはいけない。そう痛感する。
総評
歌詞を理解せずに聴くとダークでスクリームしているような声が気持ちいい感じで歌い上げているように感じるが、意味を知ると悲壮感や絶望感にまみれていてネガティブな爆弾が炸裂しているように感じる。負の感情にもがき苦しむ葛藤が生々しく、チェスターの本音がぶつかってくる感覚。
とにかくリンキンパークの中で一番好きな楽曲です。激しくエネルギッシュなギターで、繊細かつパワフルな歌声で、すべてがカッコよくて、重苦しい空気感が脳内を刺激する。カラオケで歌うとストレスが吹き飛ぶ。
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MVはライブ映像を切り繋いだものになっている。チェスターが恋しい。